「場面緘黙(ばめんかんもく)」の症状があり…」

大阪府:ゆずりは様(親御様)
不登校期間:中学校1年生の春〜3年生の現在まで
不登校の理由
「場面緘黙(ばめんかんもく)」の症状があり、学校という「声を出して反応しなければ評価されない空間」に限界を感じたため。身体は動くし学習意欲もあるが、教室というインターフェースが本人の特性に致命的に合わず、二次障害としての抑うつ状態に陥ったことが決定打となった。

「怠けているわけでも、心が弱いわけでもない。
ただ、教室というOS(基本ソフト)が、娘というアプリを動かすための要件を満たしていないだけなんです」。
何度、教育相談の場でこの説明を繰り返してきたでしょうか。

娘の不登校は、激しい抵抗や涙から始まったのではありません。
ある朝、石像のように固まり、物理的に一歩も外に出られなくなった。
それが彼女なりの、静かな、しかし最終的な「拒絶」の意思表示でした。

彼女は学校が嫌いなわけではなく、学校という「音声言語によるコミュニケーションが絶対正義とされる空間」で、透明人間として扱われることに疲弊しきっていました。

行政に最も改善を求めたいのは、「対面・音声・リアルタイム」という三要素を絶対条件とする支援プロトコルの硬直性です。
娘のように話すことが困難な子にとって、行政が用意した「家庭訪問」や「対面カウンセリング」は、支援ではなく、ただの「暴力的な催促」でしかありません。
なぜ、チャットやメールといった非同期のテキストコミュニケーションを、公的な相談や出席確認の手段として正式に認めないのでしょうか。
今の時代、ビジネスの最前線ではテキストベースのやり取りが主流です。
にもかかわらず、教育現場だけが「顔を合わせて、声を聞くこと」に異常なまでの執着を見せ、それができない子を「支援の網」からこぼし続けています。

また、不登校児童への「デジタル教材の提供」についても、現場の理解不足が深刻です。
GIGAスクール構想で端末は配られましたが、娘が自宅でそれを使ってログインしようとすると、
「学校に来ている子と同じ時間帯にしかアクセスしてはいけない」
「カメラを常にオンにしなければならない」
といった、教室のルールをそのまま家庭に持ち込むような運用がなされていました。
これでは、場所が変わっただけで、本質的な苦痛は何ら解消されません。

行政には、場所も時間も選ばない「真に非同期な学習プラットフォーム」の構築と、それを活用した際の成績評価の法的担保を求めます。

民間のフリースクールについては、別の経済的な「断絶」があります。
私たちが検討したいくつかの施設は、非常に優れた理念を持っていましたが、その多くが「不登校を克服した明るい子たちのコミュニティ」を標榜していました。
娘のような、静寂を必要とし、自分のペースで学びたい子にとって、そうした「過度にポジティブな居場所」もまた、学校の延長線上でしかありませんでした。

行政は、フリースクールを一括りに助成するのではなく、例えば「IT特化型」「静止環境型」など、特性に合わせた多様な形態の施設を認定し、そこへ通うための費用を、義務教育予算から直接切り出すべきです。

世間の皆様、そして行政の担当者の方々に想像してほしいのです。
もしあなたが、全く話せない言語の国に放り込まれ、「話さない限り、あなたはここに存在しないものとみなす」と言われたら、どれだけ絶望するでしょうか。娘にとっての学校は、まさにその状態でした。

不登校は「休養」である以上に、今の教育システムが抱える「アクセシビリティ(利用しやすさ)の欠如」を証明する社会問題です。

「学校に行けない」ことを、個人の特性の問題として片付けるのはもうやめてください。
それは、スロープがない建物に車椅子の子が入れないのを、その子の足のせいにするのと同じです。

行政が成すべきは、心のケアという名の延命措置ではなく、どんな特性を持っていても「知識」にアクセスでき、「社会」と繋がれる、多層的な教育インフラの整備です。

娘が、一言も発することなく、しかし確かな知識を武器に社会に貢献できる道筋を、公的な制度として確立してほしい。
それが、静かな部屋で一人、画面に向かって学び続ける娘の、そして私たちの切実な願いです。

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この記事をまとめた人

このサイトの管理人です。
2021年より我が子の不登校に対応している母(教員歴あり)Web会社経営者です。
不登校の中で出会ったたくさんの親子さんたちの困りごとを解決できるサイトを作りたいと思い、はじめました。
「正解を見つけるサイト」ではなく、「自分と同じように困ってる人いるんだな」くらいのN1の経験談として、気楽にご覧いただけたら幸いです。

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