「遊び」を装った暴力行為

福岡県:一ノ瀬様
不登校の期間:小学校2年生の3学期から現在(小学校4年生)まで
不登校の理由:
休み時間中に発生した複数の児童による「遊び」を装った暴力行為。加害側との認識の乖離に対し、学校側が「双方に非がある」というどっちもどっち論で早期解決を図ろうとしたこと。その結果、被害側である息子だけが教室に恐怖を感じるようになり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に近い症状を発症したため。
「学校は安全な場所である」という前提が、これほどまでにもろく崩れ去るとは思ってもみませんでした。
父親である私が語るこの体験記は、単なる欠席の記録ではなく、教育行政という巨大な組織が、一人の小さな子どもの尊厳をいかに軽視し、事務的に切り捨ててきたかという憤りの記録です。
始まりは、息子の背中に残った数カ所の青あざでした。
問い詰めると、休み時間に複数の同級生から「プロレスごっこ」という名目で一方的に蹴られていたことが判明しました。
驚いたのは、その後の学校の対応です。
担任は「子ども同士の元気な遊びがエスカレートしただけ。息子さんにも相手を煽るような態度があったのではないか」と、被害の事実を曖昧にしました。
行政側、特に教育委員会にこの件を報告しても、返ってきたのは「学校の指導方針を尊重する」という、責任をたらい回しにするマニュアル通りの回答だけでした。
この「組織防衛」の姿勢こそが、不登校を長期化させる最大の毒素です。
息子は学校に行けなくなっただけでなく、大人が自分を守ってくれないという絶望から、外出さえも恐れるようになりました。
行政がまず改革すべきは、いじめやトラブルが発生した際の「第三者による即時介入システム」の義務化です。
学校内部の人間だけで問題を解決させようとするから、隠蔽や歪曲が起こるのです。
警察や法務の専門家が、学校の顔色を伺わずに事実を認定し、被害児童を隔離・保護する仕組みを、全国一律で構築していただきたい。
また、不登校になった後の「相談窓口」の質の低さも深刻です。
私たちが足を運んだ公的な相談センターでは、担当者が変わるたびに、息子が受けた被害を一から説明させられました。
トラウマを何度も言語化させることが、本人にとってどれほどの苦痛か想像もしていないのです。
行政には、デジタル技術を駆使した「相談情報のシームレスな共有化」を求めます。
一度登録したデータは、医療・福祉・教育の各機関で共有し、保護者が何度も同じ説明を繰り返さなくて済む「ワンスオンリー」の支援体制を実現してください。
民間のフリースクールについても、私たちは苦い経験をしました。
地元の小規模なフリースクールに通わせた時期もありましたが、そこは「学校に行けない子たちの避難所」という色彩が強すぎて、学習に対する意欲がある子へのフォローが壊滅的でした。
スタッフは「心のケア」という言葉を隠れ蓑にして、一日中ゲームをさせておくだけ。
息子は次第に「自分はもう、社会から見放された『特別枠』の人間なんだ」と自尊心を削られていきました。
民間任せにするのであれば、行政は単に金を出すだけでなく、カリキュラムの質や進路指導の有無を厳格に審査し、情報の透明化を徹底すべきです。
「ただ居させてくれる場所」だけでは、子どもの未来は守れません。
私が最も強く世間に、そして行政に伝えたいのは、「義務教育の義務を負っているのは、子どもではなく国と親である」という基本に立ち返ってほしいということです。
今のシステムは、子どもが学校という箱に合わせることを強要し、合わせられない子を「不登校」というラベルを貼って排除しています。
これを逆転させなければなりません。
子どもがどこにいようとも、その場所に教育予算が紐づいて届く。
タブレット端末一つあれば、自宅のベッドの上でも、公園のベンチでも、最高水準の授業を受け、それが公的に卒業資格として認められる。
そんな「個別最適化された教育」を、特例校のような限定的な場ではなく、全ての公立校の標準として実装してください。
最後に、周囲の視線について。
近所の住人や親戚から「今日は学校休み?」と聞かれるたびに、息子は自分の存在を否定されたような顔をします。
不登校は「異常な事態」ではありません。
今の時代、合わない環境から逃げるのは賢明な生存戦略です。
行政は、「学校に通うのが当たり前」という古いプロパガンダを流すのをやめ、「どんな学び方でも、君は社会の一員だ」というメッセージを、政策の端々に込めて発信していただきたい。
私たちは今、暗闇の中を手探りで歩いています。
しかし、この暗闇を作っているのが社会の制度であるならば、それを光に変えるのもまた、制度の変革であり、政治の責任です。
教育という名のシステムに、これ以上子どもを殺させないでください。
息子が、自分の背中のあざよりも深い心の傷を乗り越え、堂々と外を歩ける日が来ることを、私は諦めずに求め続けます。

この体験談は、ご本人に書いていただいたものです。(改行のみ調整)
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