「「優等生疲れ」と、学校特有の閉鎖的な人間関係…」

静岡県:ナオ
不登校の期間:中学2年生の秋 〜 高校卒業まで(通信制高校へ転校)
不登校の理由
いわゆる「優等生疲れ」と、学校特有の閉鎖的な人間関係に対する強い違和感。いじめのような明確なきっかけではなく、校則や同調圧力といった「学校というシステムそのもの」に魂が削られる感覚に耐えられなくなったため。

私は、いわゆる「普通に学校に通える子」でした。
成績も上位で、部活動でも部長を務め、先生方からも信頼される、絵に描いたような優等生だったと思います。
しかし、中学2年生のある日の朝、制服に着替えようとした瞬間、どうしても指先が動かなくなりました。
ボタンが留められない。
涙が止まらない。
自分でも理由が分からず、ただ「もう、あそこには1秒もいられない」という拒絶反応が体中から溢れ出したのです。

学校という場所は、私にとってあまりに「効率的すぎる監獄」でした。
決められた時間にチャイムが鳴り、興味のないことも全員同じペースで学び、休み時間ですら「独りでいること」が許されない空気。
特に地方の公立校だったせいか、周囲の価値観はあまりに画一的でした。
「良い高校に行き、良い大学に行き、地元の大手に就職する」。
そのレールから外れることは、人生の終わりであるかのような無言の圧力が、当時の私をじわじわと追い詰めていたのだと、大人になった今なら理解できます。

不登校になって最も困ったのは、行政や学校側が用意している「居場所」が、私のようなタイプには全く適合しなかったことです。
市が運営する適応指導教室(ステップルーム等)にも足を運びましたが、そこは主に「小学校低学年の遊び場」のような雰囲気でした。
中学・高校の学習を深めたい、あるいは静かに読書をしたいと思っていた私にとって、そこは「学校に戻るためのリハビリ施設」でしかなく、知的好奇心を満たしたり、一人の人間として尊重されたりする場所ではありませんでした。

また、当時の学校の対応にも強い不信感を抱きました。
担任の先生は家庭訪問に来てくれましたが、話す内容はいつも「出席日数が足りないと内申に響く」「進路が選べなくなる」という、脅しに近いアドバイスばかり。
私の心がなぜ折れたのか、今の私が何を学びたいのかには興味がなく、ただ「数字としての生徒」を元の枠組みに戻そうとする作業に終始していました。
行政には、学校復帰を唯一の正解とする「出口戦略」の強要をやめてほしいと切に願います。

私が救われたのは、最終的に自ら見つけた通信制高校と、オンラインのコミュニティでした。
そこには、不登校というレッテルを貼られながらも、プログラミングに没頭する子、小説を書く子、海外の大学を目指す子など、多様な個性が溢れていました。
しかし、こうした「オルタナティブな教育」に辿り着くためには、親の理解と、何より多額の私費が必要です。
公立学校に通っていれば無料であるはずの教育が、システムに適合できないというだけで、家庭の経済的負担に転嫁される現状は、あまりに不公平ではないでしょうか。

行政に強く要望したいのは、教育バウチャー制度(教育利用券)の導入です。
学校に行かないことを選択した児童生徒に対し、その子に割り当てられている教育予算を、フリースクールや習い事、オンライン学習の費用として活用できるようにしてほしいのです。
「学校」という箱に予算をつけるのではなく、「子ども一人ひとりの学び」に予算をつけてください。

また、民間フリースクールについても課題を感じます。
熱意ある団体が多い一方で、中には「不登校ビジネス」化している場所や、運営が不安定で突然閉鎖してしまう場所もあります。
行政が適切なガイドラインを作り、質の高い民間施設を「公的な学び場」として正式に認可し、通学定期の適用や卒業資格の完全な担保を行ってほしいです。

最後に、世間の方々に伝えたいことがあります。不登校は「休養」であると同時に、自分自身の生き方を再構築するための「能動的な選択」でもあります。
どうか「学校に行けない子」を哀れみの目で見ないでください。
彼らが求めているのは、同情ではなく「多様な選択肢」と「それを認める寛容な社会」です。

「学校に行かない」という道を選んだ14歳のあの日の私に、「それでいいんだよ、世界はもっと広いんだよ」と胸を張って言える社会を、行政の皆様と共に作っていきたい。
それが、元当事者としての私の切なる願いです。


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この記事をまとめた人

このサイトの管理人です。
2021年より我が子の不登校に対応している母(教員歴あり)Web会社経営者です。
不登校の中で出会ったたくさんの親子さんたちの困りごとを解決できるサイトを作りたいと思い、はじめました。
「正解を見つけるサイト」ではなく、「自分と同じように困ってる人いるんだな」くらいのN1の経験談として、気楽にご覧いただけたら幸いです。

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